ノーミスまでの道|ソロ・ベース×マインド×練習×データの実験記録

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自身の練習過程をデータ化したらいい研究材料になるのではないか。

今回は第一回。
「練習のミス」に焦点をあててデータ化し、「どんな練習がどれだけ必要か」を明確にする試みです。
また、どんなデータが練習の役に立つか?更なる可能性は?といったことも今後明確にしていきたいと思います。

ミスあり【ミスの種類を明確に把握】

ミスの無い演奏【ここが今回の目的】

本番でミスなく表現豊かな演奏 【本来の目的地はここ】

目次

練習素材

楽曲: いつか王子さまが ソロ・ベース版

P.D曲
from Snow White and the Seven Dwarfs
Music by CHURCHILL FRANK E
ソロ・ベース難易度:★★~★★★ (最高5つ)

・アレンジリニューアル後のソロ・ベース楽譜を作成中。後日掲載します。

・P.D(パブリックドメイン)曲とは、著作権の保護期間(日本では原則として著作者の死後70年)が満了、または権利が放棄され、社会全体の共有財産として誰でも無料で自由に利用できる楽曲です。

この曲にした理由

  • ソロ・ベースにおいて小指は多用し、この曲も結構使うので小指の練習になる。
  • 左腕が正しいフォームでないと弾きにくくなるため、フォームの練習にもなる。
  • フォームチェンジがよく出てくるが、テンポがゆっくりな曲なので、フォームチェンジの練習になる。
  • 難易度★★~★★★であるこの曲の成功率をもって、他曲の難易度で事前計測するのも面白そう。
  • そもそも、だいし(わたしです)が絶賛練習中。

あえて、自分を実験台にしています。

前提条件など

▼演奏は魂だ。

「ミスがあっても表現豊かな演奏」と「ノーミスだが表現力が弱い演奏」のどっちが良いか?
についてはここでは深追いせず。

▼第一回で測定除外してること

  • 「本番に頭が真っ白になった!」 という状況。過去何度も経験してますが、、、汗
  • 疲れ等によるミス率。「身体的にすっごい疲れて、もう集中できないや」なんてこともありました。

ミスをカテゴリ別に分類した表

まずは、どんなミスがあるか、その原因と対策をまとめて表にしました。

左手

No.項目原因主な対策
運指を覚えていない/忘れた運指の定着
理解力・暗譜力
譜面とコードの理解
繰り返しで記憶
覚えているが間違えた間に合わない
フォームチェンジ精度
スローテンポ練習
押しきれない腕のフォーム
指の角度
フォーム改善
弦高調整
狙った以外の音が出るミュートが不十分フォーム改善

右手

No.項目原因主な対策
弾き間違い:
どの弦か分からなかった
弦位置の認知
暗記力
弦の位置を体で記憶
譜面で確認
弾き間違い:
弦は分かっていた
手癖
技術不足
スローテンポから練習
反復練習
強すぎた/弱すぎたタッチが不安定右指に意識する
クリックで正確な練習
狙った以外の音が出るミュートが不十分フォーム改善
触れ方の調整

テンポ感

No.項目原因対策
メトロノームが聞けなかった運指に意識が偏る演奏と同時集中
意識できる範囲を広げる
テンポ感に馴染んでない体内タイム感裏拍クリック練習

演奏停止

No.項目原因主な対策
途中で止めてしまったミス連発
集中切れ
テンポ崩壊
上記から重点箇所を把握し練習
ミスしても弾ききる練習

以上が主な条件設定や状況についてです。では実際に練習してデータ化したパートに進みます。

練習結果をデータ化してみました。

測定内容

測定回数:1曲弾ききる練習×10回

それぞれの項目で何回ミスしたかを1回弾くごとに記録。

データ化のために使った関数や考え方

  • 幾何分布(きかぶんぷ):ノーミスまでの期待回数 →練習の必要度を★の多さに変換
  • ポアソン分布:ミスの出方の形
  • ベイズ補正:データ不足による極端さをならす
  • クリッピング:0%/100%を避けて現実的にする

長くなるので、記事の終わりの方に使用した計算式を載せておきます。

1. 幾何分布ベース「ノーミス期待回数」+★練習必要度(①〜⑩)

重点的にどの練習をすべきか明らかにする」のための表です。
ミスをカテゴリ分けて回数チェックするだけで練習効率は格段に変わります。
なので表が無くてもだいたいわかります(身も蓋もないです)が、★で表すと感覚的に分かりやすくなりました。

No項目ミス合計期待回数 E(回)★練習必要度
左手:忘れ13適用外★★★★★
左手:間違い73.33★★★★★
左手:押せない41.67★★★★
左手:狙い外41.67★★★★
右手:弦位置不明01.00
右手:
弦は分かってた
11.11
右手:強弱41.67★★★★
右手:狙い外01.00
テンポ:メトロノーム聞けない01.00
テンポ感11.11

2. 曲を止めてしまう可能性

指標
曲を止めてしまう可能性10%

3. ポアソン分布表(λ=平均発生率/①〜⑩)

「次に練習したら、何回間違うか?」の予想です。
第一回なので参考として、まずは修正前のデータを載せます。

No項目λ0回1回2回3回4回
左手:忘れ1.327.3%35.5%23.1%10.0%3.2%
左手:
間違い
0.749.7%34.8%12.2%2.8%0.5%
左手:
押せない
0.467.0%26.8%5.4%0.7%0.1%
左手:
狙い外
0.467.0%26.8%5.4%0.7%0.1%
右手:
弦位置不明
0.0100.0%0.0%0.0%0.0%0.0%
右手:弦は分かってた0.190.5%9.0%0.5%0.0%0.0%
右手:強弱0.467.0%26.8%5.4%0.7%0.1%
右手:狙い外0.0100.0%0.0%0.0%0.0%0.0%
メトロノーム聞けない0.0100.0%0.0%0.0%0.0%0.0%
テンポ:内部タイム0.190.5%9.0%0.5%0.0%0.0%

0%や100%なんてありえない。そこで 
・ベイズ推定(ミスが出たこともある、ということにしておく)
・上限は99.9%、下限は0.1%
を追加して以下のように修正。

■ ベイズ補正版ポアソン分布(クリッピング適用)

あんなに「覚えてないがゆえのミス」をしたというのに、
次に10回練習して、左手忘れによる間違いが1回のみである確率は36.3%ある、といった予測が出ました。

No項目ベイズ版 λ0回1回2回3回4回
左手:忘れ1.16731.1%36.3%21.2%8.2%2.4%
左手:
間違い
0.66751.3%34.2%11.4%2.5%0.4%
左手:
押せない
0.41765.9%27.5%5.7%0.8%0.1%
左手:
狙い外
0.41765.9%27.5%5.7%0.8%0.1%
右手:弦位置不明0.08392.0%7.6%0.3%0.1%0.1%
右手:弦は分かってた0.16784.6%14.1%1.2%0.1%0.1%
右手:強弱0.41765.9%27.5%5.7%0.8%0.1%
右手:
狙い外
0.08392.0%7.6%0.3%0.1%0.1%
メトロノーム聞けない0.08392.0%7.6%0.3%0.1%0.1%
テンポ感0.16784.6%14.1%1.2%0.1%0.1%

「まとめ・所感」メモ

なんだか小難しそうに書いてるが、ようは間違えまくってんだろ? →YES。

そもそも自分にツッコミをいれたい。「まずはちゃんと譜面作れ」と。ミスなしスローテンポから練習が必要。

「自分の音を聞き直す」「どこがダメだったかを確認する」「明確な目的をもって練習する」これだけでも練習効率は良い。

更に「データ化」して「見える化」する試みは練習メニュー組み立ての効率化などに繋がりそう。

集中力がないときや全然練習しなかった後の「次の10回」の予測値は当然まったくアテにならない。
→つぎはいつ、どんな状態で、という予測データが取れるのか?

「右手の弦を鳴らす為の力加減」をどうデータ化に落とし込むか?という課題などにもアプローチしていきたい。


▼簡単に録音したい相棒です

参考数式

今回使った数式が気になる方は、以下ご参考下さい。

幾何分布(きかぶんぷ):ノーミスが出るまでの期待回数

各項目のミス確率 p

p=ミス合計10

として、ノーミスが出るまでに必要な平均回数を

E=11p

で求めています。 これは「この項目は、何回弾けばノーミスが期待できるか」を示す指標です。

ポアソン分布:ミスの“出方の形”を見る

1回の演奏で起きるミス回数の分布は、平均発生率 λ を使って

P(k)=λkeλk!

で求めています。 ミスが「ほぼ出ないのか」「たまに出るのか」「複数回出やすいのか」を判断するためのモデルです。

ベイズ補正(擬似カウント):データが少ないときの極端さをならす

10回という少ない試行では、

  • 0回 → 0%
  • 1回 → 10% のように確率が極端になりやすいため、 擬似カウント(pseudo count) を使って確率を少しだけ丸めています。

事前分布 Beta(1,1) を採用し、

λ^=k+1n+2

として、平均発生率 λ をベイズ的に補正しています。

これにより、

  • 0回 → 約8.3%
  • 1回 → 約16.7% のように、現実的な値に近づきます。

0%/100%は使わず、0.1%〜99.9%にクリップ

現実世界では「絶対に起きない/必ず起きる」は基本ありえないという考えから、 確率の下限・上限を以下のように設定しています。

  • 最小値:0.1%
  • 最大値:99.9%

これにより、データが少ない段階での“過信”を避け、 より現実的な確率として扱えるようにしています。

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