だいしEQのこと、そもそもがよくわかってないんだよね。10バンドのイコライザーなんかもあるけど…EQってどう考えたらいいんだろう?



「音のキャラクターが住んでる住所」と思うと理解しやすくなるよ。
低音や高音のバランスを変える、とざっくり思ってても具体的にどういう調整をすべきなのか?
今回はEQ(イコライザー)についての記事です。
一般的な10バンドEQで見る、各帯域の役割
一般的な10バンドEQを例にしながら、低い帯域から順番に「どんな性格を持っているのか」を、擬音やイメージを使って整理していきます。
【低域:お腹に響くエリア】
31.5Hz:地響き・空気の震え
- 音のイメージ:スピーカーが震えるだけの「ブーン」
- 役割:音楽の“底”。 上げすぎると重くなりすぎ、カットするとスッキリするけれど迫力は薄くなる。
63Hz:重低音の芯
- 音のイメージ:バスドラムの「ドスッ」
- 役割:低音の力強さ。 ここを上げると“重い音”になる。
125Hz:ベースのふくよかさ
- 音のイメージ:ベース弦の太さ
- 役割:音の厚み。 多すぎると「モワモワ」して、他の音が聞こえにくくなる。
【中低域:音の密度エリア】
250Hz:温かみ(または“こもり”)
- 音のイメージ:ボーカルの胸の響き
- 役割:ここは“掃除ポイント”。 少し削るだけで音がパッと明るくなることが多い。
500Hz:音のボディ・芯
- 音のイメージ:楽器の実体感、弦が張られた“胴体”が響いている感じ
- 役割:足りないと存在感がなくスカスカ、多すぎると“段ボール感”(ボックス感)が出る。
【中高域:耳に届く「顔」エリア】
1kHz:鼻にかかる音・存在感
- 音のイメージ:電話越しの声
- 役割:歌や楽器の“芯”や“顔” を作る帯域。上げすぎると鼻につく。
2kHz:アタック・輪郭
- 音のイメージ:弦を弾く音、ドラムのアタック
- 役割:音の“クッキリ感”。 前に出したいときに効く帯域。
4kHz:明瞭度・エッジ
- 音のイメージ:歌詞の聞き取りやすさ
- 役割:強すぎると耳に刺さるけれど、足りないと眠たい音になる。
【高域:きらめき・空気感エリア】
8kHz:シャープさ・刺激
- 音のイメージ:シンバルの「シャーン」、ボーカルの“サ行”
- 役割:派手さや華やかさ。 上げすぎると耳が疲れやすい。
16kHz:空気感・高級感
- 音のイメージ:吐息、キラキラした成分
- 役割:音というより“空気”。 ほんの少し触るだけで透明感が出る。
10バンドEQ帯域の“キャラクター 一覧表”
| 周波数 | キャラクター | 擬音・イメージ | 役割・特徴 |
|---|---|---|---|
| 31.5Hz | 地響き・空気の震え | 「ブーン」 | 音楽の“底”。迫力の源だが、上げすぎると重くなる |
| 63Hz | 重低音の芯 | 「ドスッ」 | 低音の力強さ。重さや存在感を作る |
| 125Hz | ふくよかさ・厚み | ベース弦の太さ | 多すぎるとモワつくが、適量で温かい低音に |
| 250Hz | 温かみ/こもり | 胸の響き | “掃除ポイント”。少し削るとクリアになる |
| 500Hz | ボディ・芯 | 楽器の実体感 | 足りないとスカスカ、多いと段ボール感 |
| 1kHz | 存在感・鼻の音 | 電話越しの声 | 歌や楽器の“芯”。上げすぎると鼻につく |
| 2kHz | アタック・輪郭 | 弦のピッキング音 | 音を“前に出す”帯域。クッキリ感を作る |
| 4kHz | 明瞭度・エッジ | 歌詞の聞き取り | 強すぎると耳に刺さるが、足りないと眠い |
| 8kHz | シャープさ・刺激 | シンバルの「シャーン」 | 派手さや華やかさ。耳疲れに注意 |
| 16kHz | 空気感・高級感 | 吐息・キラキラ | 音というより“空気”。透明感を足す帯域 |
EQセッティングの例① Live Track L6



なるほど。ソロ・ベースのセッティングに活かせそうだよ。
けど、別シチュエーションでの具体例が知りたいな。
いま、二人組ユニットもやってて、LiveTrack L6というデジタルミキサーを使おうとしたんだけど、うまくEQの設定ができなくて。
ヴォーカル、電子ピアノ、コーラス、エレキベースの編成だよ。



それぞれのパートに役割(居場所)を与えるような、L6のEQを活かした初期セッティング案をまとめるね。
Live Track L6の「EQ構成」について
L6のEQは、「重なり」があるのが特徴。
端っこ(HIGH・LOW)が固定で、間(MID)が自由自在に動くイメージです。
- LOW: 100 Hz 固定(低音の土台)
- MID: 100 Hz 〜 8 kHz の間で好きな場所を狙い撃ち
- HIGH: 10 kHz 固定(高音のキラキラ感)
この「MIDの広さ」があるおかげで、各楽器のそれぞれ「美味しいところ」を避けての配置(棲み分け)ができます。
4パート別・EQの棲み分け例
| パート | LOW (100Hz) | MID (周波数 / 調整) | HIGH (10kHz) | 狙い・役割 |
| メインボーカル | カット (-3〜-6dB) | 2.5〜3kHz / +3dB | +3dB | 主役の明瞭さとツヤを最優先する。 |
| バックコーラス | 大きくカット (-9dB) | 1kHz / -3dB | +5dB | 低域を削って「軽さ」を出し、高域を上げて「広がり」を出す。 |
| ピアノ | カット (-6dB) | 400〜600Hz / -3dB | 0dB (フラット) | ボーカルと被りやすい中低域を少し凹ませて、隙間を作る。 |
| エレキベース | 0〜+3dB (キープ) | 800Hz / +3dB | -6dB | 100Hz以下を担当。中域を少し上げると音の芯が見えやすくなる。 |



「役割」と「棲み分け」のイメージで調整するんだね!



パズルをきれいに当てはめていくような感じだよ。
EQセッティング例② 5人編成ヘヴィロックバンドのギター



EQで思い出したんだけど、昔、5人編成のヘヴィロックバンドをやってて、ライブハウスの客席でサウンドチェックしたときのこと。
客席の下手側から聞いてた時、反対の上手側のギターの音があまり聞こえなかったのが気になるときがあったんだよね。
その経験から、パンで左右に振らずに、上下や前後?みたいな感じで調整できたらいいのかなって思ったんだけど。



EQだけに絞って言うなら「お互いの得意分野を譲り合う」ことで、2本のギターが喧嘩せずに、綺麗な層のようなサウンドになるよ。
ギター2本の棲み分け例
| 帯域 | ギターA(どっしり担当) | ギターB(キレ担当) |
| 中低域 (250-500Hz) | 少し持ち上げる(温かみ) | 少し削る(スッキリさせる) |
| 中域 (1kHz付近) | 少し削る(中心を空ける) | 少し持ち上げる(存在感を出す) |
| 中高域 (3-4kHz) | 少し削る(耳当たりを良く) | 少し持ち上げる(エッジを立たせる) |
考え方のコツ: ギターAが「太い音」なら、ギターBは「細くて鋭い音」にする。 こうすると、両方が鳴ったときに一つの「太くて鋭い、最強のギターサウンド」が完成します。
「明るさ」の対比をつける
全体の明るさ(High)も意識すると、以下のようになります。
- ギターA: ハイを少し抑えて、落ち着いた「背景」のような音にする。
- ギターB: ハイを少し強調して、キラキラした「手前」の音にする。
※もしパンを使うなら、左右に振ったときに「左からは重厚な音、右からは煌びやかな音」という対比が生まれて、聴いている人が「お、2人いるな!」と認識しやすくなります。
なぜわざわざ「削る」のか?
「両方とも1kHzを上げれば、両方とも目立って最高じゃない?」と思うかもしれませんが、それをやると「1kHz渋滞」が起きて、結果的にボーカルが埋もれたり、聞こえにくい音の塊になったりします。
「片方を主役にしたら、もう片方は最高の脇役にする」といった棲み分けで、バンド全体のアンサンブルを良くしていく考え方です。
「EQって何?」まとめ
- EQは「足し算」ではなく「場所の譲り合い」
- 全楽器が100%で鳴らそうとすると、結果的に誰の音も聞こえにくくなる。
- 「切る(削る)」ことは「光を当てる」こと
- 不要な低域をカットするのは、その奥にある「本当に聴かせたい音」を照らすための作業。
- パンに頼らない「職人の分離」
- 左右に振れない環境(ライブハウスの端っこ)でも、EQで「高さ(帯域)」を変えれば、音はしっかり分離して届く。



EQで音の性格を整える。そのあとはコンプで動きと振る舞いを整えたり、リバーブで空間の性格を作っていったりするんだよ。



EQの基本的なことが分かってきた気がするよ。
でもさ、大人数で楽器を鳴らして響きを出すオーケストラとか吹奏楽は、EQという概念がないよね?
バンドのようにEQで譲り合いをする必要が無いのは、なぜだろう?
つづく・・・?


