自転車はコケたら痛いけど 音はミスしても痛くないから怖い|脳のしくみから練習方法を学ぶ

脳からの仕組みから学ぶタイトル画像

初見が苦手、譜面を見ながら演奏するのは苦手 → それなら暗譜して覚えてしまおう → そもそも「覚える」とは体でどういう状態のこと?

結論: 間違えないテンポで、正しい形を体で覚えてからスピードを上げていくべき

気になったので調べて記事にしてみました。

目次

痛みがない練習は、誤学習が起きやすい

自転車やスキーの練習では、 間違えると“痛い”ので、身体が自然と正しい動きを探します。 痛みがフィードバックになって、誤った動きを続けることができません。

一方、音楽の練習はミスしても痛くない。 だから、間違った動きでも何度でも繰り返せてしまう

そして脳は、繰り返された動きの「正否の判断」はせず、淡々と繰り返されたものを学習するだけ。
ここが怖いところです。

小脳は「動きの連続」をコピーして自動化する

脳の中で“体で覚える”を担当している小脳の内部構造には、

  • 分子層
  • プルキンエ細胞
  • 顆粒

などの細胞や層があり、ここで誤差が学習されていきます

最初は大脳が意識的に動きをコントロール
→動きが繰り返されると、小脳がそのパターンをコピー
無意識で再現できる運動モデルとして保存

これがいわゆる「体で覚える」という状態です。

では、練習テンポはどうすべきか?

◎ノーミスで弾けるテンポ

→ 誤差が少ない → 小脳が“正しい運動モデル”をそのままコピーできる → 体で覚えるスピードが速い

×インテンポで間違えまくる

→ 誤差だらけ → 小脳は“間違った動き”もそのまま学習する → クセになる → 直すのがどんどん難しくなる

小脳は「正しい/間違い」を区別せず、 ただ入力された運動パターンを学習する

だからこそ、 正しい動きだけを小脳に渡すことが大切

少しずつテンポを上げると、小脳が段階的に最適化してくれる

ノーミスで弾けるテンポからほんの少しだけ速くする。 これを繰り返すと小脳は

  • 既にコピー済みの“正しいモデル”を保ちながら
  • 速度だけを微調整していく

という形で誤差学習をスムーズに進めてくれます。結果として、

速くても崩れない演奏 テンポが上がっても安定した指の軌道

が自然と身についていきます。

■ まとめ

  • 小脳は「正しい動きの連続」をコピーして自動化する
  • ミスを繰り返すと、誤った運動モデルが学習されてしまう
  • ノーミスで弾けるテンポから少しずつ上げるのが最も効率的
  • 音はミスしても痛くないからこそ、誤学習が起きやすい
  • だからこそ、ゆっくり正しく積み上げることが大切

音の間違いでは「痛み」の学習がないので「自分の体がどう覚えるのか」を理解して、練習の質を高める必要があります。

【引用元】

本記事の脳構造に関する説明の一部は、 『脳と心のしくみ』(池谷裕二 監修/西東社)掲載の図版・解説を参考にさせていただきました。

Amazonで見る  →楽天で見る

こんな「痛み」は?

  • 「人前で間違えて恥ずかしい思いをした」といった感情的な痛みは、扁桃体+前頭前野が担当。
  • 「お仕事がこなくなった」という金銭的・社会信頼的な痛みは、扁桃体+報酬系(側坐核)+前頭前野が担当。

今回は、小脳が扱う「運動の誤差」についてフォーカスしました。

目次